童心失せぬ

多趣味女の好きなもの詰め

真実の行方/ネタバレ感想

「犯罪というものは必ずしも悪人が起こすとは限らない。

わかってやりたいんだ。とても善良な人たちが悪事を働く場合もあるってことを。」

 

冬のシカゴ。大司教が全身を刺されて殺され、青年が逮捕された。事件を担当する野心に満ちた弁護士は、やがて恐るべき“真実”を知るが……全米ベストセラーを映画化したミステリーの秀作。エドワード・ノートンの見事な演技が一躍注目され、映画ファンの注目を集めたことでも有名。クライマックスは誰も予想できない結末が待っている―――。

 

ミステリー小説が好きだと話したらこの映画を薦められたので視聴。確かに好きだけど、好きだけど…!見終わった後の不快感よ…。

刑法第39条心神喪失者の行為は、罰しない。 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。これってどうなの、と考えさせられる。今回映画として派手に分かりやすく問題視しているけれど、色々な事件見てると常々思う。この刑法によって守られるべき人ももちろん居るけれど、利用している人もたくさんいる訳で、もう少しどうにかならないものか。

 

弁護士マーティンと検事ジャネット両方ともすごく格好良かった。逆転裁判好きとしては、弁護士と検事が敵対したまま絶妙に協力しあいながら真実追求するのがたまらん。マーティンの作戦と知り、自分が負けることになるかもと分かっていながら被疑者の二重人格を引き出そうとするジャネットには目頭が熱くなったし、マーティンのセリフ「有罪判決を受けるまで人は無罪だと信じている。それを信じるのは、人間というものが本来善だと信じているからだ。犯罪というものは必ずしも悪人が起こすとは限らない。わかってやりたいんだ。とても善良な人たちが悪事を働く場合もあるってことを」がもう格好良すぎて痺れた。格好良すぎる。何度でも言う、格好良すぎる!!!どちらもキャラが良い。

 

こんなに熱い弁護士なのに、結局被疑者アーロンは二重人格なんかじゃなくて、それは演技で、猟奇的殺人者を自分の手で無罪にしてしまい釈放。元恋人の検事ジャネットも自分の所為で職を失い…色々苦悩や葛藤して命を懸けて守った被疑者が実は有罪だったなんて。嗚呼こんな終わり方ってないよ。法って何なんだろうな。

 

大司教を殺した動機として、ポルノビデオ撮影の強要が一番だったと思うけど、それは気弱なアーロンだから成立したと思っていて、アーロンは演技で、狂暴なロイが素なのであれば、そんな辱めを指示されたらその場で殺しそうなものだけどな…と思ったり。こういう作戦を練って無罪を勝ち取ってる辺り切れ者なのは確かだけど、今殺したら有罪になるからここは大人しく従ってアダルトビデオ撮影して、後々殺してやる…なんて思うのかな。一般的な思考がロイに当てはまると考えることがまず違うか。

何でロイはリンダまで殺したのか分からずだったのだけど、知恵袋にリンダは親密な仲だったからアーロンという人格は存在しない事を知っているから殺す必要があったと答えを見て、そうなのか~と納得。そんな親密な関係だった人でも平気で殺しちゃう男か。救いようがないな。

 

エドワード・ノートンの二重人格の演技はもちろん素晴らしかったけれど、リチャード・ギアの格好良さの方に惹かれた。良い役だったな。あとグットマン、ちょっと不憫でかわいくて好き、たくさんこき使われてた良いヤツ。

 

中々真相にたどり着けないのに、だれる事なく面白く見れた。謎は解けないけどテンポは良いという不思議。あっと言う間の2時間だった。見終わったあとのこの感情含め、良い作品だったと思う。見てよかった。