童心失せぬ

多趣味女の好きなもの詰め

シックス・センス/ネタバレ感想

嘘でも「明日も会おう」って言ってよ、お芝居でいいから

高名な精神科医のマルコムは、かつて担当していた患者からの凶弾に倒れてしまう。リハビリを果たした彼は、複雑な症状を抱えた少年・コールの治療に取り掛かる事に。コールは常人には無い特殊な"第6感"、死者を見る事ができる能力を持っていた。コールを治療しながら、彼によって自らの心も癒されていくマルコム。そして彼には予想も付かない真実が待ち受けていた・・・。

こんなに有名な映画を全くネタバレ踏まずに今まで生きてきた自分に大感謝

もし何故かここに迷い込んだ、シックス・センスを見たことがない人がいるのであれば、すぐに引き返してほしい。今は映画に興味がなくても、いつかハマるかもしれない自分のために情報はシャットダウンした方が良い。見終わったあと、とにかく自分を褒めた。良い映画時間を過ごせて良かったのは過去の自分のお陰。そして翌日クソデカボイスでシックス・センスを見たことない人が羨ましいなあ!この経験は初見じゃないと出来ないもんなあ!」と夫にウザマウントをとり、結局2日連続で見た。次の日夫も会社で同じこと言いふらしてきたらしいけど、冷静に考えて恥ずかしすぎる夫婦。教養のないことを自ら露呈。

 

という事でここからネタバレ感想。冒頭に載せた台詞のシーン。コールがお遊戯会で主役を任されて、それを見に来たマルコムと話すシーン。こんなに幸せで、あと少しでどう終わるんだろうと思った時に、〝嘘でも「明日も会おう」って言ってよ、お芝居でいいから〟とコールの細い 悲しい声。そこで、えっ…と気づいた瞬間思わずリモコンの一時停止ボタン押して、いやいやいやいや待ってくれお願い、そうじゃないであってくれ頼むよこんなの悲しすぎる と中々再生ボタン押せなかった。勘違いであってと思うけど、マルコムが霊だったらあれもこれも全部辻褄が合う…と、脳みそがフル稼働する気持ち良さと物語の切なさで最後を見る前にしばらく呆然とした。

 

コールが言う「もう会えないの?」があまりにも寂しそうで、二度と会えない事が確実に分かっていたんだろうな。コールはいつマルコムが幽霊だと気が付いたんだろう。今まで自分の人生、幽霊(が見えるという体質)にめちゃくちゃにされて、塞ぎ込んでいた自分を助けてくれた精神科医が幽霊だって知った時どう思ったんだろう。

他の霊も傷はそのまま残っていたから、マルコムの後ろ姿を見たら血がべっとりついている事に気づいたのか。気付いてなお、それでも先生は僕の味方だと色んな話を共有して、霊を克服するに至ったコール側の視点でもこの話が見たい。はあコール、なんて愛おしい子。

「先生、奥さんと話したいなら寝てる時がいいよ、無意識で話を聞いてるから」と最後にマルコムにに助言したコールは、やっぱりどう考えても気づいてるんだよな。先生はもう亡くなっているって。その上で先生に言われた「霊のお願いを叶えてあげる」を先生自身にしてあげてるんだよな。考えれば考えるほど胸が痛い…切ないってこういう事ね。

 

コールのママがすごく好きだ。少し変わった我が子に手は焼いていたけど、しっかり怒って、たくさん愛して、誰よりもコールを心配して強く抱きしめるママ。最後にコールが幽霊が見える事を信じたのだって、おばあちゃんの話があったからだけど、それだけじゃなくて、今までコールをしっかり見て、向き合おうとしていたからだと思う。ちゃんと合点がいったんだろう。コールがこれから少しでも生きやすくなったのであれば本当に良かった。自分の事を話せる人がいるってすごく大切な事だ。

 

自分の患者に打たれて命を落としたけど自分は死んでいる事に気づいてない精神科医が、霊を見る事の出来る患者を救うって設定だけで面白さは100点なのに、順番を変えて展開させるだけで、こうも面白さが倍増するのかと驚いた。映画だから出来る面白さを知って、もっと色々な映画に触れたくなった。映画好きの第一歩をやっと踏み出した気がする。見れてよかった。